放送大学 舞台芸術への招待 第12回 歌舞伎

12.日本の伝統演劇  歌舞伎
  能 そぎ落とした芸
  狂言 笑いをテーマとしながら制約された形
  人形浄瑠璃 形式な統一感
   上記三つは同一性の要素が多い
  歌舞伎は、多様性が大きい。
  江戸時代 芝居=歌舞伎 であった。
   町人文化から生まれた多様な芸能や演劇的なもののが歌舞伎に集められた。
   図1
現代のテレビに似ている。
   上方と江戸の差がはっきり現れてくるのは元禄歌舞伎  
上方 和事  坂田藤十郎  女形は初世 芳澤あやめ
          特定の作品に関連づけられていない

 江戸 荒事  初世 市川団十郎 
           市川家の芸として受け継がれた。
ア. 和事について
和事と恋愛の理想
  男女の和合 がテーマ
作品「廓文章(吉田屋)」  夕霧狂言が元。
  近松門左衛門 作 人形浄瑠璃「夕霧阿波鳴渡」
  100年後 吉田屋の段を人形浄瑠璃としてのが「廓文章」
  歌舞伎 その数年後に初演 
   歌舞伎の一部 鑑賞
 

   色っぽさの価値
   遊郭という場しか実現しなかったということが、家の制度の問題が
   あったことを理解する。
  遊郭に人々が求めた恋愛の理想が、歌舞伎における恋愛の理想化として実現されていたところに和事の本質的な意味がある。

イ.荒事について
  17世紀の中頃 人形浄瑠璃 金平浄瑠璃 が流行。
  荒唐無稽なストーリーと豪快なアクションが喝采を浴びた。
  男が多い当時の江戸の住人たちの特質を反映している。
  男だて、喧嘩早い、大げさな言動、肉体能力の評価等
 荒れの意味空間 
図2
 


「 荒」は自然崇拝の呪術的想像力を秘めている。

 一部鑑賞 作品 歌舞伎狂言(演目) 「暫」
  荒事のポイント
   闘いは 口喧嘩 つらね 修辞を浪々と連ねていくこと。
           台本なし役者が作る。団十郎の自作
           坂東平野の守護する神々が降り立つ祝祭劇
      衣装 柿渋色の巨大な両袖、成田屋の紋が染め抜かれている
    
    おなさ心の価値が実現されていて東国人の自然への回帰志向
    都市化や官僚体制への反抗の表現の一つかもしれない。
ウ.まとめ
和事 色っぽさ  荒事 おさな心=こども→下品でない色気
  色っぽさの価値こそ歌舞伎のすべての舞台を成立させている。

  芝居町と遊郭をセットして空間として囲む→悪所
 
 愛敬 色っぽさとおさな心の価値の統合
 
 歌舞伎は観客の心を喜ばせることを理想としてきた。

以上