舞台芸術への招待第5回 バレエの現在

第5回 バレエの現在 (テキストとビデオ講義)

 1.バレエの革命
  1909年 ロシアのバレエ団「バレエ・リュス」がパリに来た。
    団長 セルゲイ・ディアギレフ(1872〜1929) 
      美術、音楽に通じていた興行師であった。
    「バレエ・リュス」は20世紀の芸術革命であった。
 2.総合舞台芸術 という考え方。
     一流の画家 ピカソマティスユトリロ、ルオーなど
       作曲家 ドビッシー、ラヴェル、サティ、が参加。
      ストラヴィンスキープロコフィエフはこれで有名になった

 3.私を驚かせてくれ
  特徴2 新しいものを追求  
前期はエキゾチックな異国趣味を売り物。
  クレオパトラ」、「シェエラザード」、「火の鳥」、「薔薇の精」、
   「ペトルーシェカ」
   「青神」----インド 、「春の祭典」、「夜の太陽」、「上機嫌なご婦人方」
  後期は実験的、前衛的
 「バラード」----------- ピカソ、サティ 奇抜な衣装。
  「牝猫」、「オード」、「放蕩息子」
 「バレエ・リュス」のプログラムの映像
   パリ・オペラ座、ロイヤル・オペラハウスのビラ。
 特徴3
男性を舞台の中心に押し出した。
   ワスラフ・ニジンスキー (1889〜1950)
    「ジゼル」は人間役だったがパットしなかた。
     逆に奴隷、妖精、人形などの「人間でない役」が良かった。
    「醜」の中に「美」を見出す20世紀美術の特徴が出でいる。
     驚異的な跳躍力
    振り付け 「牧神の午後」 横顔しか見せない。
     ニジンスキーは、団長ティアギレフの愛人だったが、若い女性と結婚したために
     団をクビになり、10年間ほどの活躍だった。
 
 6.バレエ・リュス以降
  ディアギレフの死でバレエ団は解散。
   残った人々が「バレエ・リュス・モンテカルロ」と呼ばれ各地で活躍した。 
  イギリス 英国ロイヤル・バレエ、
   パリオペラザのバレエ団を世界的水準へ 
  
7. 20世紀バレエの三つの流れ
   ストーリーのあるバレエ

   ストーリーのないバレエ-------形式主義バレエ ストーリーに意味がない

8,形式主義バレエ
   体が作り出す形と動きこそが重要とする考え。
    振付家ジョージ・バランシンが打ち立てたスタイル。
    作品「モーツァルティアーナ」の映像
         踊りの流れと形が作品
      「セレナーデ」 米国のバレエ学校で作った作品
      「デュオ・コンチェルタント」 ストビンスキーの音楽、シンプルな衣装
    「ウェスタン・シンフォニー」 バレエによる西部劇スタイル
    現在 ニューヨーク・シティ・バレエ団がバランシンを引き継いでいる。

9. フォーサイス
  ドイツ出身 ウィリアム・ファーサイス
まったく新しい動きのバレエ

10. もうひとつのストーリーのないバレエ
   モダンダンスをバレエの中に取り入れた。
   ストーリーを超えた大きな物語を表現している。
    「愛、生と死、性、憎しみ、欲望、孤独」の物語。
      その例
  モーリス・ベジャール(1927〜2007) 振付師
   「春の祭典」けものとしての人間、性を舞台で表現する作品で有名と
     なった。
    日本文化やインドに興味を抱いていた。
   「ザ・カブキ」 東京バレエ団
     仮名手本忠臣蔵をモチーフとしている。
     音楽 黛敏郎。 西洋と東洋の融合をめざした作品。
イリ・キリアン(1947--) チェコ出身
    オランダ拠点で活躍。モダンダンスの動きと独自の動きを作り出して
    何かを語ろうとし、叙情性を持っている。
       「ステッピングストーンズ」の映像。
 11 ドラマチック・バレエ.
    ロシアで発達した。ストーリーのあるバレエ、演劇的バレエ。 
    スターリン時代に盛んに公演された。
   「ロミオとジュリエット」 ロシアバレエ団がイギリス公演でショックを受けた。
     ダンスとバレエの融合を図る。
     チャイコフスキーが作曲した。
      言葉を一切使わないで身体の動きで表現した。映像を鑑賞。
      セリフのかけあいに代えて男女の踊りで表現した。
 12.まとめ
    今日の公演では、半分が古典バレエとなっている。
    そしてバレエとそれ以外の境界線が崩れている。
    フィギアスケートにもバレエ教育が取り入れられている。
     バレエは普遍性を持っているからである。

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