舞台芸術への招待第3回 オペラの現在 テキスト要約

第3章 オペラの現在  (テキスト要約)
 ヴァーグナーの現代性
1.ヴァーグナーによる徹底的破壊
バイロイト祝祭劇場ヴァーグナーが自ら設計し、バイエルン国王に作ってもらった。 
 大フォワイエ、レストラン、バー、客席照明もない・
 ボックス席もなく、現在の劇場形式の座席配置は作品に正面から向き合える。

2.オペラにおける芸術鑑賞の誕生
 高いスティタスを誇る観客が礼儀正しく居住まいを正して接するほど高いスティタスを持つ芸術となった。
これが日本化におけるクラッシック音楽の鑑賞スタイルに受け継がれてきた。

3.ドイツロマン派の芸術崇拝
ドイツ語圏ののみの特質 なぜか
  専制君主が支配する社会体制が強固に維持されてきたので、自由なのは
 自分の心の中だけということで内面性の重視ということで内に閉じこもり、
芸術は世界の現実を超えるべきという現実逃避が背景にあった。
 しかし、ヴァーグナーのオペラはドイツロマン派の純粋芸術主義を超越しており世界との深い関わりで上演され続けている。

4.総合芸術としてのオペラ
 ギリシャ悲劇は、政治・社会的にも都市国家市民との一体性を実感できる芸術であった。ヴァーグナーバイロイトおいてをその理想を目指した。
当時の音楽批評家 ハンスリックが唱えた近代主観主義的芸術至上主義とは
  「言語に可能な領域を切り離すことで音楽は絶対的になる」という考え。
  音楽の自律性を声高に主張する近代純粋芸術主義の基となった考え。

 ヴァーグナーはこれを批判。
  オペラはギリシャ悲劇の在り方を理想とし社会的意義をも踏まえた、諸芸術が一体的に共生・協働する総合芸術であり、世界ととの深い関わりを持っている。

5 ヴァーグナーのオペラにおける現代的演出
   「ニーベルングの指輪」
     巨大な発電所ダムをライン側の水底とする演出
     現代の産業文明の巨大で威圧的で死の不安恐怖をテーマとしているため。
    <トーキョーリング>での演出
「 水着を着ている乙女」
      ポップさ軽快さ、ポストモダン的状況という現代社会の特性を表現
   「ヴァルキューレの騎行」
     「病院のストレッチャーで兵士が移動する。」
       現代の戦争では兵士は英雄でもなく惨めな戦死をする現実を表現
するために病院と生気が感じられない半裸の青年を立ち去らせている

   オペラは、古典であっても、同時に現代の芸術であり、古くて新しい、生命力に満ちた舞台芸術である。

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