芸術史と芸術理論-10

10.バロック美術
  カトリック教会側からの反撃

「絵画」
   ベルニーニ
    ベルニーニ 「自画像」 早熟な天才画家。
    バチッチャ「ベルニーニの肖像」
   イタリア サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会」
   「聖女テレサの法悦」
     総合性 絵画、彫刻、建築が調和
    太陽光がそそぐ、場に引きずり込む演劇的性
    桟敷席の彫刻、テレサは実在の人物
    神秘体験を物質化したもの。
   神との神秘的な合体経験をあらわした。
「建築物」
  ローマ 「サカタンドレア・アル・クィリナーレ教会」
      楕円の形の教会。 不安定な形と時代を表現。
「彫刻作品」
  ローマ 「ボルゲーゼ美術館
  「ダヴィデ」
    ボルゲーゼの依頼で作った。異教を好む貴族。劇場的な場を提供。
    ミケランジェロの姿の次の形。
   動きの瞬間を表している。単一視点作品  ダイミックな動きのある、場に
引き込む作品。
 
 「アポロンとダフネ」
   非キリスト教的の作品 ダフネが月桂樹に変身しようとする一瞬をとらえた作品。
 
 「プルートとプロセルピーナ」
   異教徒的作品 動きの一瞬をとらえた傑作。太股にくいこむ指と肌の表現。

  ピエトロ・ダ・コルトーナ
  ローマ「バルベリー宮殿」
   天井画「神の摂理の勝利」
    総合性の素晴らしさ。
  ウルバヌス8世の栄光を讃えているが、注文主へのおもねりだけではなく
世界の本質の素晴らしさを描いた傑作。

  ローマ「サンティニャーツィオ教会」
   だまし絵 「クーポラ」ドームと天井。イエズス会が全世界に普及させている
姿をトータルに表現し、圧倒的な場を提供している
   ローマカトリックが正しいものとおもわせる作品。

  ローマ「ジェズ教会」
   バチッチャ「イエスの名の勝利」
     IHSという文字がイエズス会も象徴している。 建築と絵画、彫刻が
一体となっている。
 バロック芸術とは
  ダイナミックで場に引き入れる力を持っているので、ローマカトリックに役に立った。
  芸術のための芸術は近代になってからの考え方。 芸術としてすばらしいものが、
役にたっていたので存在したと考えるべき。

演習課題

 1.カトリックプロパガンダとしてのバロック美術が、芸術として優れた芸術で
あるかという意味を考えてみましょう。

   回答: 芸術は、本来、社会的・歴史的・文化的・政治的・哲学的・宗教的意味が
備わっているものであるとすると、バロック美術は優れた技巧で民衆を宗教的・
超越的な世界へと導く存在となっているため、優れた芸術であった。

 2.ベルニーニのリアリズムと、クールベのリアリズムの違いは何か。

回答:

3.ウルバヌス8世とシビオーネ・ボルゲーゼの共通点と相違点は何か。

   回答: 共通点 どちらもベルニーニの有力なパトロンであった。どちらも
宗教改革的な性格を持つ作品として共通であった。

   相違点 ウルバヌス8世は教皇としてカリリック的・キリスト教的な作品を
注文し理解者として存在したが、
       ボルゲーゼは貴族として、異教徒的な主題をもった作品を発注した。