芸術史と芸術理論-3

3.アリストテレスの芸術哲学

 ギリシャの野外演劇場
  野外に昼間に上演された。民主主義と深い関係がある。
 古代ギリシャアテナイ都市国家の中心で演劇が行われた。
 アクロポリスの丘 ディオニュソス劇場

   ローマ時代も続いていた。彫刻もローマ時代。
 ここで行われていた祭りの一つの例。
 詩人が悲劇をいくつも上演する。
 審査も最終日に実施される。
 首相クラスが詩人を決め、
 演劇の費用の大半はコレイゴス(富裕の市民)が負担した。
 富裕な身分の高い人は、公的な負担をしければならない」という義務があった。
 ノブレス・オブリージュ(高貴な義務)という考えのはじめであった。
 
 祭りには市民の多くが参加した。15000人もの市民が参加できた。貧しい人には国家が負担し、仕事を休んだ人には休業補償もした。 市民皆が見に行くのが義務。
劇場の復元図。図

 女性及び奴隷はどうだったか?という疑問
 観客の中には、女性や子供、世話をする奴隷もいたと伝えられている。
 
 昼間 3人の俳優が仮面をかぶって何役も
    勤めた。
 
詩学」によるギリシヤ文学史一覧
  今道友部作成「詩学」による図

 ギリシャ三大悲劇詩人
   アイスキュロス 525-456
ソボクレス 496-406
エウリビデス 480-406
 アリストテレス
  ミーメーシス 模倣、再現 という意味
   演劇や文学、美術、音楽を一括する概念を打ち立てていた。 すなわち今日の芸術概念を打ち立てていた。
 ミーメーシスの対象は、典型である。すばらしい人物を作りだすのが演劇である。
 ゼウクシス 有名な画家
  ヘレネを描いてくれという依頼があり、
  その町から5人の美女を選び、美女の各々きれいなところだけを選んで、モデルとしてヘレネを描いた。

 現実を元にしながらも理想的なものを描く。現実に根ざしながら世界に内在している本質的なものを表すことが芸術である。
  

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印刷教材の要点
 アリストテレスの文章からみると
 美術、音楽、文学、演劇等を一括する概念は、古代ギリシャにおいて成立していた。

 芸術を芸術家の自己表現としか考えることができないため、芸術の成立時期を近代としてしまうのは誤りである。

ミーメーシスは、現実を凌駕していなければならない。

アリストテレスのいうミーメンスとは。

 芸術は、日常世界の単なる「現実を凌駕」して、その世界の内なる普遍的本質に達し、その本質を典型的なものとして物化する。

カタルシスについて
 カタルシス  浄化という意味?
 美学者 竹内敏雄の論
 観客が、劇世界内における登場人物の運命の不幸・苦悩を目の当たりにすることによって、その不幸・苦悩に同情し、またその運命に恐怖する時に、観客が現実世界において被っている、普段は意識下に追いやっている心の重荷を再体験し、意識にのぼらせ、それと向かい合うことで重荷からの解放される体験による感情的浄化である。
 悲劇をみることは、本質的な苦悩をあらわにし、それによって苦悩の重圧を乗り越える一つに心理的経験に人を導くのである。
 ギリシャ悲劇の一つとして「オイディプス王」という作品がある。
 課題: 作品を読むこと 舞台DVDあり野村萬斎主演のDVDがある。5400