和歌の心と情景-13

13.契沖と宣長〜和歌の文法〜
 江戸時代の和歌の研究を紹介する。
 1.契中 1640〜1701
国学者 武家出身 高野山の学僧
    大阪の寺の住職となり古典、和歌の研究実作もした。
   文献資料に基づく実践的な研究をした。
   歴史的仮名遣創始者 
   万葉集の注釈書 万葉代匠記
   古今和歌集の注釈書 「古今余材抄」

 2.本居宣長 1730〜1801
商家の出身 医者をめざして上京、
   松坂で医者を営む傍ら古典研究や和歌の実作に励む。
  契沖の「改観抄」に影響を受けて古典興味を持つ。
   「古事記伝」を書き表す。
  「古今集遠鏡」 古今和歌集の注釈書
          当時の現代語訳を記す。
 3.具体的な例
   ア. "袖ひちてむすひし水のこほれるを はるたつけふの風やとくらん"
     古今余材記
     あの文献にはこう書いてあるなどとあれこれ過去の文献を引用して書いている。
     古今集遠鏡
       袖ヲヌラシテスクウタ水ノコホツテアルノヲ 春ノキタ今日の風ガ 
       フイテトカスデアロウカ" 
       細かい配慮をして訳している。
       助動詞の違いと役割をきちんと反映させて訳している。

   イ. "霞たちこのめもはるの雪ふれば 花なき里も花ぞちりける"
    古今集遠鏡の訳
       霞ガタツテ木ドモノコノメモ張リ出ル春ノコロ コノヨウニ雪ガフレバ 
        花ノナイ里ニモサ花ガチルワイ トント花ト見エル




  果実 (和歌)     縁 (見るもの、 聞くもの)

        言の葉

      
 種
       因
       心

 係助詞 「ぞ」
     客観的な情景の表現と主観的な詠者の心情の表現