芸術史と芸術理論-7

7章.イタリア・ルネサンス主義
 
 ルネサンスの新プラトン主義

  哲学者 マルシーリオ・フィチーノ
  「美は神の顔の輝きである」
 
  二神のヴィーナス
  「天上ののヴィーナス」
    母親はいない。奇跡的に生まれた。

  「通常のヴィーナス」
    父親、母親から通常どおり生まれた。
 新プラトン主義的ミーメーシス美学
  現実世界における美とは
 「創造的生命力にあふれた神の輝きのそれぞれ「薄められた段階における輝きによって生み出されれるものである。
 「人間の芸術とは、自然のミーメーシス以外のなにものでもない。」

ボッティチェリの作品の哲学的基盤
 「ヴィーナスの誕生」 
   天上のヴィーナスの降臨
 「春」
   自然の国のヴィーナス

ミケランジェロの新プラトン主義哲学
 バチカンの「システィナ礼拝堂天上画」
 シャルル・ド・トルナイの分析
 第1層 日常生活の人間性
 第2層 巫女や預言者 超自然的な力
 第3層 ノア 宇宙的な存在 神

 「肉体に閉じこめられた人間の魂」の神への回帰を示している。
 ピユタコセラス派とブラトン並びにプロテウスという一大源流であるヨーロッパの代表的哲学を絵画で表現した。

 ミレランジェロは詩人でもあった。
 
 彫刻制作とは「大理石とう物質にすでに内在している、自然・世界のイデア的本質に基づく像を引き出すことであり、英知にしたがってその像を覆っている余分なものを取り除くことによってそのイデア的本質像を救いただすことである。

 「ダヴィデ」像 血管や骨格、肉などを解剖学的構造を表現し、生命のもつ「動的潜在力」を生命のない物質の塊の中から引き出して作品としている。
「モーゼ」像
 超自然的な高揚を表現ししている。

 ミケランジェロの作品
  プラトン哲学や新プラトン主義哲学とう異教哲学を根本的に含んでいる芸術作品。
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フイレンツェを中心とするイタリア・
ルネサンスの社会・文化・芸術 年表

 14世紀末 ギリシャ語の講座を開き
      古典ギリシヤ学の専門家を育てる。
  1439 東西教会合同会議を開催
      プラトンアカデミの設立の提案
 
 メデイチ家 コジモ 銀行家

  1462 コジモがメディチ家別荘に「プラトン・アカデミア」を創設する。
  1468 フテチーノがプラトンの全対話編の翻訳を完了する。
  1482 フィチーノが「プラトン神学」を出版。 「春」ボッティリォ描かれる。

 フィーチノの哲学

ラテン語
  Venus calelstis  天上のヴィーナス
  (ヴィーナス)

    母親なし、物質とは無関係。
    天の存在。

  Venus vulgaris  通常のヴィーナス
 
   mater 母→ものを生み出す力
語源 木の芽を生み出す力
    
   materia 物質
     生み出す存在
  「芸術作品を生む力をもっている。」

大塚国際美術館(鳴門市)--- 複製の美術館

○ ボッティチェリの「春」
    右 変身したフローラ
    中 通常のヴィーナス
       世界を統括する存在
    上 目隠しをしたキューピット
      精神の眼でみることを象徴
    左 三美神 愛、貞節、美
    左背を向ける メリクリウス
           人間の理性は地上の世界に満足せず、天を目指している
 
○「ヴィーナスの誕生
  裸身であることでより神聖な存在である。 天上のヴイーナス
     重量を支えない姿勢。天上の存在

 ○ シモネッタ・ヴェスプッチ 
      ピエロ・ディ・コジモ 作
    クレオパトラを描いた絵
蛇がしっぽを噛もうとしている。
    新プラトン主義の深い意味

  1504 ミケランジェロダビデ像
  1510 ラファエッロ 「アテネの学堂」
  プラトンアリストテレス 

 ○ 「パルナッソス」  ラファエロ
   エンニウス ホメロスを見ている
   ホメロス 神をの声を聞くため天を見ている
   ギリシャ文学を勉強してラテン文学を成功させた象徴としての絵。

 ○「ガラティアの勝利」 ラファエッロ
    ヴイラ・ファルネジーナ 収蔵
   頭の中で想像した理想像
    
 ミケランジェロ
  システィナホールの再現
   時間的な上昇、
    人間世界、預言者&巫女、神 の空間 3層構造
  新プラトン主義の視点で描いている。
  ・神によるアダムの創造の図
    この時点でイブをすでに抱きたたかえている。 女性も同格。イデア的存在としては平等である。聖書の教義とは違う。
  ・楽園追放の図
    男性自身が禁断の実を取ろうとしている。 これも教義と違う。
 ローマカトリックと違う世界を描いている。

 下から上を見たときにバランスよく見えるように描いている。

 ○サン・ピエトロ・イン・ヴィリンコ教会
   ローマ教皇デウス2世の墓
   ミケランジェロ 「モーゼ像」
    新プラトン主義的な高揚を表している。
 
 ○ミケランジェロ 「最後の審判
   審判者 キリストの描き方。
 
  新プラトン主義的な表現を表している。
 
 芸術は、哲学的な内容を表している。 

 新プラトン主義とは

 物質世界の上にイデア界(叡智界)があり、物質世界ははイデアを原型とする模造である。新プラトン主義は、このプラトン哲学を発展させ、イデア界の多層構造と物質界の多様性は流出によってもたらされたと説明する。 人間はイデア界と一体となることを目指して自分を向上させねばならない。

  
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研究課題
 1.ニ神のヴィーナスの哲学がもっている。芸術哲学としての意味を考える。